新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

公的債務と言う憂鬱

6月13日号、Leadersのトップはアメリカを始めとする先進国で高まりつつある公的債務への懸念について、です。
そりゃあ皆さん心配でしょうって、稼ぎ(GDP)に対する借金の割合で言ったら、先進国と言われる国々ほど実態は悪くなっていることに驚きを禁じ得ません。アフリカ等の国々は、世銀やIMFがあって、容易に金を貸してくれなかったのでしょうけど、金を借りられた先進国はと言えば、アイルランドが811%、英国が336%、かのスイスでさえ264%、それにひきかえアメリカは95%強と、まだまだ100%を越す手前だということです(日本の数字はない)。

先週、堺屋太一さんの講演を聴く機会があったのですが、やはり公的債務について懸念されていたところ、この記事以外のウェブ情報として日本の公的債務残高は150%前後だそうで、(本誌には日本の記述がない!)それからするとヨーロッパ諸国よりはまだましかもしれないが、アメリカよりもだいぶ悪い水準と言うことかと思います。しかしながらこの件は、中ぐらいだからよいとか言う問題ではなく、軍事と同様にその国の底力を現す指標として重んじられても良いように思います。もっとも知らないのは僕だけで、実は各アナリストが最も頼りにする評価指標、だったりするのかもしれませんが。

対応案としてウェブに載せられている意見はと言えば、定年延長、就業時間延長、年金需給年齢引き上げ、増税その他なんでもあり、みたいに見えますが、重要なこととして政策の優先順位に関する議論が抜け落ちていることがあげられます。

10年の年月を感じながら、いまさらの様に日本の経験を西欧諸国とシェアできなかったことに若干の後ろめたさを感じています。一部投稿者に日本の政策的正当性を訴求するものもありましたし、賛同者も多くはなかったですがいたことを申し上げつつ、「だから言ったじゃないの」的な発言をするための下地作りを日本がどれだけの誠意と汗でやったかと言う点については若干以上の後ろめたさを感じています。堺屋太一氏も、かつては怒られ嫌われて、10年経ったらどうしてだか日本の政策をみな習いに来る、とかおっしゃっていましたが、その割りに日本が先行事例として論じられる機会をめったに目にしないのはなぜだろうか、と若干不思議に思っていました。一つの結論としては、英語で情報発信できる人材の枯渇、といった読み解きもできるのではないかと感じています。


少し遅くなりましてどうも済みません。