新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

禁輸がもたらすもの

6月27日号のFinance and Economicsで、昨日からちょっと前へ戻るのですが、中国がボーキサイトやマンガン、コークスなどを輸出禁止にしたことについて、国内産業の保護を優先させるのは自由貿易の観点から問題だ、というような記事がありました。これらの鉱物資源は製鉄業などにとって重要な資源であることは確かそうなのですが、賛否両論が出かけた読者コメントに、その道の専門家らしき人からの書き込みがあり、他の資源国による供給が潤沢または資源枯渇がないため、これら禁輸措置は深刻な問題にはならない、ということでした。なーんだ、と思うと同時にマスコミがちょっとしたささくれでも針小棒大に報じるのは、たとえThe Economistと言えども変わらないのかな、とも思いました。

確かに、供給の安定してる資源だから良かった、これが需給逼迫していたらそんな暢気なことは言ってられないぞ、と言う指摘もあろうかと思います。しかしながら、たとえば日本で同様の事情が発生したら、日本は果たして自由貿易のために資源を外国に売るでしょうか?

また、あらゆる理由をつけて欧州がアフリカから農産品を買わなかったように、またアメリカが中南米との貿易に慎重なうえにも慎重だったように、自由貿易を声高に叫ぶ国が本当に自由に貿易をしてきたかというと、実は決してそうでもなかったように見える角度もあるわけで。

禁輸がもたらしたのは、ちょっとした世論のさざ波と、将来への漠然とした不安、それに何より暴露されたある種の自己矛盾、だったかもしれません。