新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

教育の機会均等について、ほか。

7月4日号のLeadersです。

先ずトップはモスクワ訪問が予定されているオバマ大統領と、それを迎えるロシアの間で交わされるであろう軍縮を巡る虚々実々のやりとりについて。ちょっと意外だったのは、公開初日にもかかわらず50件を越す読者コメントがあり、そのうち少なからぬ投稿がこの記事の品質に関する批判〜お決まりの、とか偏向しているとかですが〜だったこと、でしょうか。確かに「自由貿易を守る」との旗印に照らし合わせて言えば、オバマ大統領はロシアと何をどのように話し合うべきなのか、といった明快な論旨がやや弱いように感じます。

次にホンジュラスでの、どうしようもない大統領に対するクーデターとその不当性について。追放された大統領の復帰を求める主張は、前の記事の切れ味の悪さとはまるで別です。残念ながら日本では事実関係の報道ばかりで、このクーデターが何を意味するものかという分析も、それに関わる国益の議論も極めて低調だと思うのですが、民主主義の擁護者たろうとする姿勢がこの記事を書かせたのでしょう。その意味ではフジモリ大統領の強権に対しても、ムシャラフ大統領の専制化に対しても、たとえそれが必要に見える国であっても常にThe Economistは批判的でした。その意味では気骨を示したと言うことなのでしょうが。南米における超越した権力の大統領が劣悪な民主主義しか実施しない不均衡が是正されればクーデタは自然となくなる、という分析は言いえて妙だとは思いましたけど。

その次はヘッジファンドとプライベート・エクイティ投資に関するEUの規制、そしてそれを巡る独仏と英の利害関係について。ま、The Economistはイギリスの雑誌なので、どうしても規制賛成の記事にはならないですけど。

そして初等中等教育におけるイギリスの名門校と一般校の違い、米英の大学教育とそれに備える初等中等教育の位置づけについて。一般校も名門校並みに、先生の優劣を報酬などではっきり評価したり、できない先生を辞めさせたりする自由があれば、との結論はThe Economistらしい話ですが。議論は百出、とは行かず、おおよそ格差の是正を主張する意見と格差はあってもよいが行政の適切な対応と親に選択の自由を、といったような意見が代表的でした。

と、ここまで読んで疲れたので、続きはまた明日にでも。