新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ウィグルは中国の脅威になるか?

7月11日号のLeadersおよびすぐ後のBriefingで、ウルムチ暴動に関する詳報とあわせて「はたしてウィグル問題は今後の中国の脅威となるか?」との読み解きが出ているのですが、The Economistの見解は大変興味深いものとなっています。すなわち、中央アジア諸国と連なる要素を色濃く持つものの、ウィグル問題は「地元のイスラム教徒にとってアメリカが大衆の敵ではない」言ってみれば珍しい地域で起きた治安問題で、すでに治安がよいとはいえない同地域においてわざわざウィグルの分離独立を支持する意味合いはきわめて弱い、よってアメリカにとっては少数民族の人権への配慮と中国との外交関係をうまくバランスさせることが大切になろう、との見解です。

仮にウィグルが中国の脅威になりうるとすれば、暴動に呼応して国際的な圧力が高まる場合、と想定できると思うのですが、そのような声を上げる(上げられる)強国は決して多くない、ということを見切った上での議論だと思います。で、肝心の中国ですが。

アメリカは騒がないであろう、となるとヨーロッパの声も出たとしても限られる、であれば外的な脅威は局所的なものに限定される、との読みが成り立つのではないかと思われます。だとすると中国としては内政安定化に集中すればよいわけで。その意味で、サミットを欠席して帰国して見せた胡錦涛主席の判断はとても正しいメッセージを内外に伝えたことと思われます。どのみち地球温暖化で袋小路の議論しかできなかったわけですから。