新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

人民元が国際決済通貨に?

7月11日号のFinance and economicsですが、いささか非現実的と言われてもおかしくない段階だと思うのですが、人民元が国際決済通貨になる可能性についての論評がありました。

もともとは、ドルの価値下落で大損をしつつある中国の財務当局者の発言として、国際決済通貨にふさわしいのはドルではなく、国際通貨基金IMFが使っているSDRであろう、との議論に端を発するものです。でもSDRはごく限られた、たとえば中央銀行のみが使える限定的な単位で、全世界的な信用担保に使えるだけの環境は全く整っておらず、現時点では全くの夢物語です。

では人民元はどうかと言うと、政府の統制がきついこと、いくら停滞していると言ってもアメリカは依然として中国の三倍の経済規模を持っており、かつてアメリカドルが英ポンドをさしおいて世界の国際決済通貨になったのがアメリカが経済で世界一になってから実に半世紀も後の出来事だったという歴史に照らし合わせても、現時点ではありえない選択としかみなされないでしょう。

ただ、中国が徐々に国際取引の決済に自国通貨を使うようになってきていることは事実のようですし、そうなるとたとえば地域経済圏における準決済通貨のような立場を自然に獲得するようになるかもしれませんね。あと1年以内に日本を追い越して世界第二位の経済大国になることがほぼ見えた中国ですが、決済通貨としての人民元はその立場を裏付けるものになるのかもしれません。