新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

違う見方

7月18日号のBusinessで取り上げられているキリンとサントリーの経営統合交渉は、日本のメディアとは少し違った見方を提供してくれています。

その一つは、「これまで日本で合併と言うと、敗者の戦略であった(が、今回は違う)」との総括です。必ずしもそんなことはないと思うのですが、一時期相次いだ金融機関同士の経営統合などは、傍目から見るとそう見えたのかもしれません。たしかに、今回は両社とも追い込まれたための策ではなさそうです。ではなぜ経営統合するのか?

二つ目に書かれているのは「飲料業界の世界戦略」ということで、確かにアンホイザー・ブッシュやミラーなども合併を繰り返して大きくなっており、規模の経済で世界市場への取り組みを考えた場合には納得しやすい話ではあるのですが。さらに、あまり日本のメディアが書かない話として、日本には飲料以外の製造業でも世界へと出てゆくためには規模を大きくすべき中堅企業が一杯ある、これらの会社にとって非常に参考になる事例である、との読み解きも書かれています。

で、三つ目に書かれているのがThe Economistならではと思われる話で、公取委はどう裁くのか?という視点です。これまで国内のことだけを気にしていればよかった公取委にとって、世界戦略を前提に、今後の日本企業が生き残るためのモデルケースになるような事例を、果たして足を引っ張らない形で裁定できるのか?との問いかけです。

ときあたかも衆院選ですが、これを論点に引っ張り出すような政治家は、果たして何人居るでしょうか。。。
「生活の安定」「中小企業」「経済政策」、はたまた「政権交代の実現」「生活者中心」、これら聞き飽きたようなお題目とは違う見方で日本経済を語る勇者をこそ、時代は求めているのではないかと思ってしまいます。