新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

十年一日、ではなく。

8月15日号です。

「お盆休み」でしばらくぶりのアップです。Leadersにはアジア経済の急速な復活、アメリカ離れを加速させるブラジル、廃れる固定電話、ボーイングとエアバスの死闘、科学におけるガリレオの業績再評価などが載っていて面白いのですが、今日はもう木曜日だということもあって、一気に飛ばしてFinance and economicsの日本経済に関する長い記事を見てみようと思います。

Stuck in neutral、はっきりしないまま立ち止まる、というタイトルにも明らかなように、日本が何をどうしたいのか、そして将来どうなってゆくのか、非常に見えにくいところがあるというのはThe Economistのホンネだろうと思われますが、それ以上に日本人にとってさえ答えのわからない問いではないかと思います。

で、The Economistは経済に関する本なので、経済の側面から現状を読み解こうとしています。結果として出てくるのがお盆の休みと高速道路の渋滞、働きすぎ、輸出依存経済、再投資の弱さ、その他・その他と言うことになります。で、「経済を再度バランスさせること」を処方箋とすべきところ、そのような主張は選挙の中では見られない、との不安因子について触れています。

高齢社会。借金漬け財政と史上最大規模の経済対策の並存。GDPの回復と失業率の高まり。それらなのに暴動はおろか、メディアにさえ過激な反応を嫌わせる「空気」。確かに、stuck in neutral、またはstuck in darkとも言えるような、かつて経験したことのない奇妙な安心感と絶望感のないまぜになったような雰囲気が支配的になりつつあるのではないでしょうか日本では。だとしたらlong standing inability (長いことそれをできずにいる)ではなく、現象的に輸出依存であることとはおよそ異質な、なにか新しい不安要素が奥底に広がりつつあると言う分析のほうが正しいのではないかとすら思ってしまいます。一見すると十年一日何も変わらない日本観を表に出しつつ、真逆の分析も成り立たせるような内容の記事でした。

なぜかネット版のページが調子悪く、読者コメントが読めないのが残念でした。

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