新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

財源は、ある!という話

8月22日号のEuropeには、一ヵ月後に迫ったドイツの総選挙についての話が載っています。
今のところ優勢が伝えられる与党キリスト教民主党と連立を組むFDP自由民主党の政策は、税制の抜本改革による財源確保だそうで、どこかの国の万年与党がお題目のように唱えているのと一緒です。違いはドイツの場合、その政策が支持を得ていること、共通点は何に使われるのかが今ひとつ判然としないこと、ではないかと思います。
常識ある大衆の目からすれば、長年政権政党だった党のほうが政権運営に長けていて、野党をいきなり政権につけたところでその点では大きく劣ることなど折込済みだと思うのですが、日本とドイツの違いということで言えば、そうしてでもこすり出したい長年の垢、あるいは滓(オリ)としての税金の無駄遣いが目立っていて、これをなんとかするくらいしか閉塞感の打開は期待できないという感覚が強いということだろうと思うのです。
ドイツの場合、今ひとつ不人気な野党社会民主党が言っているのがEUの他国に比べて高い税負担の軽減だそうですが、考えてみればこれも自国民の民度に対する敬意の低さを物語っている話ではないかと。常識ある国民は、何に使われるのか、それがどうして必要なのかをきちんと納得することを通じて、むしろ積極的に税の話も聞いてくれるのではないかと思うのですが。その意味で日本について言えば、長期政権のオリとして溜まった無駄遣いは、よくメディアで批判される役人の「渡り」もそうかもしれませんが、同じくらいにベテラン政治家のパフォーマンス代として溜まった部分もあるのでは?と思ってしまいます。その政治家がいなくなってその分が浮くわけですが、新たに政権につく党にそれを差し出しても自分たちの取り分は傷まない、そんな計算が官僚の間で働いていないとは言えないのが日本の現状ではないでしょうか。もう一度メルケルにやらせてみよう、というドイツの国民と、もう十分だろうと思っている日本の国民。それぞれにそれぞれの経緯とコンテクストがあって、どちらがどちらより優れているわけでも、劣っているわけでもないと思います。ただ意外にも、共通の関心事項は一緒だなあと、記事を読んでいてそんなふうに思ったのですが。


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