新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

実現しそうもない話

9月19日号のLeadersに、国際金融取引に対して各国が課税する、いわゆる「トービン税」導入の機運を警戒する記事が載っています。元々この考えは経済学者ジェームス・トービン(企業価値と市場の期待を比較する、いわゆる「トービンのq」を提唱した方です)が国際金融取引に伴って生じる投機的な資金の流れが正常な経済活動を阻害することを抑止するために提案したもののようですが、相変わらず投機的な資金に翻弄される金融業界への対策としてドイツの総選挙で議論が起きたものに、イギリスの金融当局も一定の理解を示したとのこと。

自由貿易の旗頭たるThe Economistのことですから、この税を導入することでどれだけ自由な取引が疎外されるかについて相も変らぬ不寛容な反論を載せています。ニュースで伝えられる動きを見ても、メルケル首相はG20でトービン税の提案はしない、と明言したそうですし。

で、あまり数は多くないのですが、読者コメントは大半が記事を批判しておりまして、健全な市場を建設するため、異常に肥大した現在の金融市場にある程度の規制を導入するとの考えは決して間違っていない、という意見が主流でした。政治主導で世の中を変えてゆこうと思うなら、この水準でモノを考えてほしいものだと思うんですけどね。

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