新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

仕事がない景気回復

10月31日号のUnited Statesは、ついにアメリカが景気回復基調に入ったらしいこと、にもかかわらず依然として失業率は高く、一般人には景気回復を実感できない状態が続いていることを伝えています。確かに数字だけ見ていれば、四半期ごとのGDPは第二四半期に比べて第三四半期は年率3.5%の上昇ということで、底を打ったのかなという解釈が成り立つと思います(それ以外に説得的な読み時があれば別ですが)。しかしながら、インターネットの世論調査などを見ると、未だに多数の人が景気回復を実感できないこと、失業率は回復していないことなどが明らかになります。ではこれ以上の景気刺激策を取ればよい、ということなのかという問いに対してThe Economistは明確な答えを用意していませんが、これまで長年にわたる同紙のスタンスを省みるに、景気刺激策の充実には否定的な意見を持っていることを否定しようがないと思います。この記事でも「現在ですら危険な財政赤字に更なる負荷を与える」との言い方で、婉曲ながら否定していると捉えることが出来ると思います。日本は、にもかかわらず赤字国債の発行で景気刺激を続け、いままたマニフェストに書いてあるから、という小学生のような理屈で財政赤字を増やそうとしています。

仕事が増えない景気回復は景気回復なのか?理論的にはもちろんイエスなのですが、国民経済分析やもっと言うと消費者の皮膚感としては釈然としないものがあるのも事実だろうと思います。アメリカが不況を脱した、のは確かによいニュースなのですが、その後に続くものを想起するに、いわゆる「景気回復」とは随分と肌合いの違ったものになっている、ということもさらに事実だろうと思います。ずっと中途半端な夜明け、みたいな状態が続くのかも知れません。なんだか嫌ですね。