新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

国際協調の難しさ、改めて。

12月12日号のInternationalでは「汚れた取引が大気を汚す」(Filthy lucre fouls the air)とでも言うようなタイトルで、コペンハーゲンで続いているCOP15について伝えています。事実はこの記事よりもう少し進んでおり、このタイトルの裏の意味とも思える、一部の国のやりとりが全体の雰囲気を壊すような話よりもさらに深刻に、「京都議定書の延長でいいじゃないの」的な安易な妥協が主案に盛り込まれそうな状況のようですね。

巷間伝えられるように、中国はアメリカを抜いて世界最大の温室効果ガス排出国になり、特にその帰趨が注目されています。最終的に中国がどのような決断をするのかについては当然注目されるところなのですが、それ以上に興味を持って見ているのが、「中国に世界的ビジョンを打ち出せるだけの見識があるのか」というポイントです。環境問題、なかんずく自国の責任が過去から現在にわたる範囲ではあまり大きくない気候変動のようなケースでは、どうしても自国権益の擁護に傾きがちなものですし、おそらくは今後ともしばらくの間、中国のスタンスはあまり変わらないだろうと思います。一人当たり排出量に換算すれば依然として中国は世界標準よりも低いレベルにある、と言われてしまえばそれまでというところでしょう。ただし。

気候変動問題に限らず、地球環境問題というのは経済と同時に倫理の問題である側面が強いのですが、であればなおのこと、世界のリーダーとしての見識が問われる問題ではないかと思います(実質はいざ知らず、特に地球環境問題について日本はかなりこの点を意識してやってきているのですが、その姿勢は後世にも評価されるべきであろうと考えています)。経済分野で日本を凌駕し、2010年には世界第二位の経済大国となる中国ですが、長年国連の常任理事国を務めてきたわりに、この点ではまだまだということではないかと見ています。という議論が通じる世代に、中国でもなるべく早く前に出てきてほしいですね。