新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

大きな政府の代償とは

1月23日号、地域記事の前のBriefingは、お約束とばかりに「大きな政府」へ政策的な軸足が移りつつある(特にアメリカ)ことへの警鐘みたいな内容になっています。実は日本の民間は、一見エラソなことを言う人もいるかと思いますが、対日直接投資の制限についても、巧妙に政府の力を借りてここまでやってきたという歴史があります。

現状日本の民間大手がどのように対応しようとしているかと言うと、きちんと政府のご指名を頂いて、しかる後に能力を証明する、となったほうが不要な軋轢を防ぐとでも考えているのかもしれませんが、自分から積極的に小さな政府を言い出したり、そのような行動を取ろうとする企業はとても少数です。

デフレのかじ取りをしなくてはいけない民主党新政権にあっては、積極的な「小さな政府」路線への合意形成など党内的にも、国民世論的にもまだまだとても、ということかなと捉えております。今はそれどころではなく、少しくらいつけを増やしても景気を何とか、ということですね。本来これでは困るということはだれもが分っている話ではありまして。

緊急時の政府による信用の流動性確保、信用収縮の予防は、政府が国民に対して行っているツケ回しにすぎず、政策自体が遅滞なく行われた点は評価できるが、政権交代等による大きな不連続効果もあって、今後の予断を許さないものになりつつあるということだと思います。事実アメリカを中心に金融バブルの気配も漂いつつあるようで(オバマ大統領の銀行統制に関する演説で市場は一気に冷やされましたけど)、経済危機直後の緊急的な流動性の確保に続くべき実体経済の毀損修復は、待ったなしの段階と言うことですね。