新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

中国はイノベーションに向かうか?

1月23日号のBusinessでは、経済特区第一号として寒村から9百万人の人口を抱える大都市へと、わずか30年で変貌した深セン(土へんに川)と、製造業を中心とした新規創業について紹介しています。

長年、創業率が廃業率を下回り企業数がじり貧となっている日本と違い、中国では特に地方で旺盛な創業意欲が今も続いているそうですが、深センなど先進的な都市では、そろそろ技術革新への取り組みが視野に入ってくる段階かとも思われます。ただ今のところ数字の上では日本やイスラエルに大きく及ばない段階のようです。はたして中国の製造業は内発的なイノベーションに取り組むようになるのか?考えてみるにこれは実は大変興味深い話題です。伝統的な拝金主義的投資家の視点を持つ企業であれば、技術は買うもの、といった考え方が支配的になる可能性が高いと思われますが、日本では技術は作り、育てるものという考え方が主流だと思います。新しいものを作るときのすり合わせが上手かったり、「ワイガヤ」に代表される現場と開発の距離の近さが強みになっていると言われています。また、先進技術では日本がなかなか勝てないアメリカでは、科学と技術の距離が日本に比べて大変近いことも頭に入れて考える必要があるでしょう。これは民生品に加えて軍需という大きな力があり、産軍学の協働体制がしっかりできていることなど、日本とは大きく異なる事業環境を持つことによると考えられます。

はたして中国の製造業はイノベーションを自らのものとして確立しうるのか?そうだとすればアメリカの産軍学協働、日本のすり合わせのような独自の強みを出しうるのか?だとすればそれは何なのか?引き続き興味深く見守りたいと思っています。