新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

米中に火種あり

ウェブには2月6日号が載ってます。

ざっと見て、不況から立ち直れない欧米の抱えるそれぞれの悩みについての記事が目立つ号になりました。曰く、アメリカは対中国問題そして医療保険など内政、かたやヨーロッパはギリシャ経済の危機ですが、その陰に隠れるようにトヨタ問題もしっかり取り上げられています。

何となく最近各方面で目立ちだした米中の軋轢については、Leadersのトップに加えて最初のBriefingや地域記事でも繰り返し触れられています。

前のブッシュ政権が「テロとの戦い」を宣言して強硬姿勢で取り組んでいた間は、特に中国とアメリカの軋轢というのは目立ちませんでしたね。北朝鮮を巡る六カ国協議では、中国は議長国として大いに面目をほどこしましたし。

それが最近はだいぶ風向きが変わってきました。明らかなきっかけは、先週までに報じられたアメリカによる台湾への武器売却と、それに対する中国の激しい抗議だったわけですが、相前後してダライラマの訪米とオバマ大統領との面会が報じられると、さらに中国の批判はヒートアップしたというわけです。以前なら内政干渉問題への反論くらいが目立った中国ですが、イランの核開発問題や途上国であることを前面に押し出した気候変動問題への非協力的態度は傲慢のそしりを免れないものでしょうし、元切り上げに応じるそぶりも見せない非協力的な態度は、本来経済力に応じて配分されるはずの価値を歪に独占しようとする、との非難に値する、というのがアメリカまたは西欧社会の論理です。

また一寸前になりますが、Google問題でもアメリカと中国はかなり寒いけなし合いを演じましたね。Googleのサービスにあれほど神経質になる「大国」は他にはないだろうと思います。

たしかに、自分の権益を守るときは途上国だと言い張りあらゆる責任からの回避をはかり、権利の主張をするときのみ大声を上げるその態度は、アジア的・儒教的価値観から言っても卑属のなせる所業と言われても仕方ないのではないでしょうか。

このブログではあまり私自身の政治的意見をはっきり述べることはないのですが、この一点にのみ論点を絞って、現民主党政権の中国政策には全く反対します。なぜなら、アジアが世界に問うべきビジョンは卑属のそれであってしかるべきはずもないからです。世界経済は、一国だけでは回りません。厳粛なその事実に従う用意があるのなら、元の価値を認め、気候変動問題への対策を進め、かつ世界の核開発問題に建設的提案を行うくらいのコミットメントを中国に対してはしっかりと求めるべきであろうと思うのです。求めても、先方は応えられないでしょうって?たしかに中南海の内的力学はこれらの議論に対しては拒絶反応しか示さないでしょうね。以前The Economistが指摘していた話でもありますが、やはりどうやら中国のボトルネックは共産党政権中枢ということのようですね。