新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

高齢化の津波

2月6日号のSchumpeterは企業を襲う従業員高齢化の影響についての議論なのですが、いわば高齢化先進国たる日本においてさえ、「〜の波」程度の言われ方をする場合が多かろうと思われるのに、「〜の津波」とはまた派手なタイトル棚と思いますね。後継者育成や定年延長、雇用体系および賃金の見直しなど、ここしばらく日本企業を悩ませた問題とほぼ同質の悩みが世界の企業を襲う、というものです。

The Economist的に言えば、これらの変化は本来チャンスでもあると言いたいのでしょうが、労働者の権利を守るほうに動く法規制がそれを許さない、と言う読み解きのようです。

定年を一大イベントとして捉えるのではなく、訪れるさまざまな変化の一つに過ぎないと捉え、段階的引退などの施策を講じるという対応の例に対して年齢差別を禁止する法律についての懸念が述べられて議論を締めくくっていますが、どうこう言ってみても大枠での高齢化は避けがたい事実なのですから、それにより企業の活力が削がれることについてはある程度不可避であると認識されるべきではないかと思います。むしろ企業に与えられた責務でありチャンスは何かと言われれば、高齢化する従業員をどのようにハッピーに働かせることが出来るか、それにより社会をハッピーに出来るかというものではないかと思うのです。より健康に、より若々しく、より経験を活かし、より無理のない形で高齢化する従業員の能力を最大限活用する環境を整える。そのための見本は他のどこでもない、高齢化先進国たる日本にあるんですけどね。