新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

弱点、かな。

2月13日号のAsiaには、四川大地震の被害者救済などに尽力する人権活動家が中国で不当な扱いを受けている、という趣旨の記事があります。曰く、複数の活動家が国家反逆を疑われて投獄されたとのこと。

確かに現状の政権下では、チベットウイグルに留まらず、法輪功やメラミン入りミルクの被害者について擁護的な発言をするだけでうすら寒いものを感じざるを得ないのだろうなということは、日本にいても想像は難くないのですが、面白かったのは読者コメントを舞台にした自称中国人たちの論争でして、方や「多数の中国国民は経済発展を司る現政権を支持している。CIAなど外国の機関から支援を受け、共産党政権の攻撃に走る「活動家」は許せない」と言ったトーンでの発言があるかと思いきや、「公の場から情報を隠匿する政府のプロパガンダに加担するために小金をもらって発言するとは」といった中傷の逆襲とも取れる発言もあり、争鳴状態になっております。

ディベート、とはまた趣の違う論争を傍観して感じるのは、正直に言って「なんてレベルの低い話で言い争っているんだろう」ということですかね。確かに経済だけを取り出して言えば中国の躍進は大きな変化だと思うのですが、端的に言って政治の近代化を犠牲にして成り立った繁栄、と言えなくもないところがその弱点ではないかと思います。それは日本でも韓国でもシンガポールでも、多かれ少なかれあったことでしょうけれど、「まず繁栄」という選択肢がもたらした時間のおかげで不十分ながらも内省・内観に基づく政治的な変化の兆しが現れているのではないかと、希望的観測も含めて認識しているのですが、この点中国ではまだまだ、ということでしょうかね。