新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

オバマケアの成立までには

3月20日号のLexingtonを眺めています。というのも、つい今日のことですが(アメリカ時間では21日になるのかな)、米下院で懸案の健康保険法案が可決・成立したからでして、上院を通過してから今日までの間、何度も廃案がささやかれ、世論調査のたびに大統領支持率が低下していた中にあっては大変厳しい法案審議になっていたものと思われます。この記事にはおそらく法案成立に大変な力を果たしたであろうナンシー・ペロシ下院議長のことが書かれていまして、なるほど今回の法案はオバマ大統領だけによる成功ではないのだということを如実に示してくれています。

アメリカ合衆国女性初の下院議長となったペロシ女史ですが、かつて西海岸に引っ越してきたときにようやく見つけた借家の主が、共和党のニクソン大統領候補(当時)の支持者だと言うことを知り、その家を借りるのをあきらめたご経験の持ち主だとのこと。貧しい家の手伝いをして大きくなった彼女は、一族に多くの政治家を持ちながら訥弁が特徴という、少し変わった下院議長さんらしいです。自らの政策を語るより人の話を聞くタイプということで、その代わりややもするとバラバラになりかねない下院の民主党議員を束ね、投票率をしっかりと確保する交渉の上手さ・強さで目立つ人だということなのですが、不況と大統領支持率低下に悩まされ続けたオバマケアと言われる今回の健康保険法案は、彼女の強力な指導力とその下の民主党下院議員の団結なしには難しかったのではないかと思われます。ごくごく直前の記事だったことを割り引いても、今週のLexingtonでキーパーソンとしてペロシ議長を特集するあたり、流石にThe Economistだなあと思った次第です。