新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

なぜ日本でプライベートエクイティが流行らないかというと

3月20日号のFinance and economicsには、日本では2007年をピークとして今やほとんどその姿を見かけなくなるまで減少した企業向け民間投資、プライベートエクイティについての話が出ています。曰く、「技術があって、事業承継に困る優秀なオーナー企業にとってのパートナーになりうるはずなのに、そんな会社はまだ日本にはたくさんあるのに」どうしてだかプライベートエクイティが流行らない、という話です。このままではそれらの会社が危うくなる、という危惧をにおわせる論調なのですが、読者コメントはあられもなく「要は誰がカネを出すかと言ったときに、日本では銀行融資が十分に機能しているから」との金融環境に関する現状認識はそのとおりと言えるでしょう。

経営者側からみた切り口について思うのは、日本型経営モデルの典型ともいえる株式持合いや金融機関依存型の資本調達が、長引く不況の中で見直されているというか、結局そこへ戻ってきていると言うか、カネの縁で自らの経営や技術を云々されたくない、という意識が経営者には強いということなんでしょうね。プライベートエクイティについて、口は出すは期待配当率は高いは、とてもではないけれどもやっていられない、というような認識が強いのではないかと思います。以前にも書きましたが、技術のある中堅企業の社長をされた方から、ファンドの経営参画は「何もわかっていない青二才が外部取締役だと大きな顔をしてやってくる」というお話を聞いたことがあります。たとえ根っこが欧米の一流ファンドだとしても、ハンズオンに携わる日本の担当者が技術も経営も判らないレベルでは、パートナーとして一緒にやろうという気になどならないのが当たり前、かも知れません。ろくに経営もわかっていないくせにカネばっかり儲けやがって、みたいな話だと思うのですが、一流ファンドの方々にとって、この強烈な批判に正面から向かい合うだけの、日本は魅力的な市場ですか?機会があったら是非聞いてみたいと思います。