新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

羹に懲りて?

3月27日号のFinance and economicsは、2008年のリーマンショック以降、民間信用の「証券化」が大きく後退し、依然として市場が縮小したままであることについての論評を載せています。それまでさまざまな局面で使われ、信用創造に寄与してきた「証券化」の手法は、対象となる信用供与スキームの信頼性や期待利回りの低迷などさまざまな理由で民間には使われにくい状態が続いていたものが、ようやく少しずつ元に戻りつつあるということです。不動産部門では政府系不動産金融サービスは比較的高めの利回りによる資金運用を続けており、証券化のメカニズムを金融システムの安全性と両立する形でどのように運営し、いかにして民間資金を招き入れるかが喫緊の課題と捉えられているようです。

これに対する読者コメントはさまざまで、証券化が招いた市場の混乱について依然として批判的な意見があるかと思えば、危機前には大量の信用創造に寄与していたシステムの復帰を望む声もありで、まだまだ議論の余地は多そうに見えます。一つ示唆的だったのは、「銀行が資金を必要とするのなら、証券化に手を染めるのではなく債券発行により(きちんと財務的に見える形で)行うべきだ」という意見ですかね。羹に懲りてというわけではないでしょうけど、金融機関に対してしっかりと地に足の着いたサービスを求める意見は重要だと思います。