新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アメリカの変質

4月3日号の特集記事は、「借金と消費から貯蓄と生産へ」という経済構造の一大転換を志向しだしたと伝えられるアメリカの現状、そして将来についての詳報が出ています。まだ日本のメディアでアメリカがこのような方向を向きだしたとの報道は稀ではないかと思うので、ご興味のある方はぜひこの記事を読まれると良いとおもいます。だいたい1〜2週間遅れでさも判ったような記事が経済関係の週刊誌・月刊誌を飾ることでしょう。

貯蓄の伸びと国内需要の落ち着きに加えて、国際市場においてもアメリカは映画や建設(デザインでしょう)、広告などのクリエイティブ産業やメディカル、製薬、コンピュータソフト、エンジニアリングなどのハイエンド産業に相対的な強みを持つとの分析もあり、弱いドルも輸出を下支えする、とあります。「新興国が作り、アメリカが消費する」というこれまでのパターンも、単純な統計ながら民生市場の規模は新興国のそれがアメリカの規模を凌駕したとの分析がなされており、であれば今度はアメリカが作って売る番、という分析もあながち間違いとは言い切れない側面が見えてきます。そうなると問題は、日本に左ハンドル車を輸出し続けたその国が、クリエイティブ産業でもハイエンド産業でもよいのですが、新興国市場のニーズに合致した商品を提供できるかどうかだと思います。

The Economistがイギリスの週刊誌であるにも拘らず、特に私がアメリカに関する記事について関心を払うのは、同誌の現編集長であるJohn Mickelthwaitが、直前まで7年間ほど同誌のアメリカ関係の記事を担当していたこともあり、アメリカの政治経済に関する深い洞察が読み取れるからなのですが、読者の反応はそれこそさまざまで「これこそアメリカが目指す道だ!」というものから「金融セクターの惨状を見ると、現状とてもそのような変質が上手く行くと考えることは出来ない」というものまでさまざまです。ちょっと面白いので、もう一日二日はこの特集記事を読み込んでみようと思います。