新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

エネルギー価格と労働力

4月3日号の特集記事ですが、アメリカ国内のエネルギー価格について。原油はさておき、岩に閉じ込められた天然ガス(シェールガス)が採掘できるようになり、天然ガスの供給量は劇的に増え、価格は下がったのだそうです。加えて再生可能エネルギーに関する技術革新が進み、石油依存のエネルギー需給が構造的に変わってきた、との話。

今ひとつは労働力で、中間層以下の生活者に対する住宅供給は、サブプライムローン問題以降確かにゴーストタウンも作り出しましたが、一方で新しい町の労働力を当てにした事業展開の例も少ないながら出だしている、という面があるようです。それこそガス生産などエネルギー分野の雇用は伸び、数的に多くはないものの好調な産業が進出するための受け皿となる労働力を有している町はゴーストタウンにならずとも済んでいる、ということのようで。

シェールガスの話は、インドや中国を含む世界的な需要構造の変化に対してどれほど大きなインパクトのある話なのか、まだ一寸整理できていませんが、石油と違ってパイプラインによる輸送は簡単でも備蓄には適さないというガスの性質をどこまで補えるか、また労働力の問題も、それが高付加価値型産業なのだとしたらどこまで良質な労働力のみを確保できるか、よい話には違いないのかもしれませんが、簡単な話ではないだろうと思います。

私のあまり好きでない毛沢東はかつて「長江は時に北へ、時に南へ流れ、どうかすると西にすら流れるときがある。しかしながら全体として長江は確実に東へと流れている」と言ったそうですが、アメリカ経済の立ち直りはどちらの方向へ向かって流れているのでしょうか。もう少し記事を読み込んでから判断することといたしましょう。