新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

リバランス、というコトバ

4月3日号のアメリカ経済の復活に関する特集記事を通読しています。
最後は政府の関与と全体の総まとめなのですが、借金と消費から貯蓄と生産へと経済の梶を切りなおす中で、大きな問題になるのが政府の役割、すなわち産業政策の立案と実施による生産セクターへの関与ということになるのですが、東アジアではごく当たり前に考えられているこのステップが自由主義経済の総本山たるアメリカでは当たり前ではないようなのです。すなわち、産業政策の立案と実施には産業育成と言う視点が欠かせず、そうなると勢い保護主義の考え方を容認しなくてはならなくなる点が懸念材料だということなのですが、過去に成功した軍事機密に名を借りた産業育成すなわちインターネットや宇宙開発などの事例を現行のWTOルールに沿う形で実施するのは簡単ではない、ということのようです。

ただ、為替は弱くそして金融セクターも依然として痛んだバランスシートで綱渡り経営を続ける中、アメリカにとって経済構造の転換が反映と成功をもたらすのか、という疑問に対する答えはまだ明瞭ではないとのこと。EUは消費者として期待するにはまだ弱く、新興国に頼らざるを得ない状況の中、恒常的な財政赤字を抱える政府が弱含みのドルといつ高騰しても不思議はない原油価格とを意識しながら歩みを進めるしかないのが現状であるとの認識です。

オバマ大統領の代名詞ともなった「チェンジ」ですが、経済政策上その中身が「リバランス」であるというのが現時点でのThe Economistの読み解きであるということのようなので、ぜひ注目して今後を見守ってみたいと思います。