新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

時間差と、温度差と。

4月17日号のSchumpeterは、特集記事で書ききれなかった話なのか、元世銀・民間銀行で、現在は新広告市場への投資を管理する仕事をしているオランダ人のエピソードについて。かつて途上国、あるいは第三世界と呼ばれた国々への扱いに疑問を持った彼は、ついに自身で新興国市場の仕事を始めて今は大変大きなビジネスになっている、と言う話です。

読者コメントには複数の、真っ向から反対する意見が書き込まれていまして、その幾つかはこれまた非常に説得的なものなのですが、今を見るのか、明日を見るのか、もしかして昨日を見るのかでその見解は大きく変わってくるものだろうと思います。

かつてアジア危機のときにクルーグマンが「アジアの奇跡は単なる経済循環の表れ」だと言い切ったことがありました。巷間で真相が語られるよりも早く危機は訪れ、そして回復してしまったので、話題の賞味期限はとっくに過ぎているのかもしれませんが、80年代に東南アジアで感じた「ここの人たちに自分で考えることを教えるのは難しい」という個人的皮膚感は、当時そう感じたことが信じられないくらい不似合いなものになってしまいました。企業も、人々も、自律的に考え、発言するようになってきています。一寸前、横文字のメディアに英語で発言する中国人はどこか公的なにおいのする人が多かったのに、今ではまるで景色が違います。

確かに数多くの新興国がいまだ大きな問題(貧富の格差やインフラの貧しさ)を抱えているのは事実ですが、それが新興国の明日を全く以って否定的なものにしてしまうことには、多分ならないんじゃないかと思います。伸び代は、サッカーで言えばスペースみたいなもので、それがなくなった日本がどれだけ息苦しいことか。ま、このあたりも認識の時間差・温度差でしょうかね。