新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

詳細を伝えると言うこと

5月22日号のAsiaには、韓国の哨戒艇「天安」が沈没した事件に関して、近くの海で韓国海軍が発見したとされる北朝鮮製魚雷の残骸について、詳しく報じています。曰く、「北朝鮮が数多く輸出しているCHT−02型魚雷と形が完全に一致した」こと、「青字で書かれたハングルの『一番』という文字が以前に捕獲された北朝鮮製魚雷の文字と酷似していたこと」など。このあたり、日本のニュースメディアはごくさらりとしか触れていないのではないかと思うのですが、やはり事実関係を知るというのは物事を判断するうえで重要な要素だと思うのです。これがひとたびホットな戦争になると、とたんに事実関係の報道のみに集中する同じメディアとは思えないくらい、間接的な形でしか報道がなされないのは、韓国と北朝鮮の問題だからでしょうかね。

金正日は、直後に北京を訪問して「俺はやってない」とシラを切ったそうですが、どうせ全面軍事衝突にはなりっこないと見越しての、いつもの「ハードル上げ」のつもりなのでしょう。いくら物的証拠をつきつけたところで、目的がそうである限りシラを切りとおすでしょうし、すべて難癖づけに等しい嘘八百も並べたて続けるのだろうと思います。

「六カ国協議の枠組みで」、「対話と圧力」など、これまで日本政府が標榜してきた施策も最近は効力が薄れてきたように思われます。本件について、現政権はどうかすると思考停止状態のようにさえ見受けられますが、順番が回ってきたらしっかり札を切れるように用意を怠らないことも、5月末という勝手に決めた締め切りに帳尻を合わせることと同様かそれ以上に大事なことだと思うのですが。