新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

福祉を切るか、社会資本投資を切るか

6月19日号のBriefingには、もう二つの興味深い記事が載っています。一つは英国の財政再建に関する試案で、何をどのように削減するのが良いかという議論です。二つ目は炭素税を支持する意見で、特定分野(再生可能エネルギーなど)への補助金や減税などよりも、炭素税を導入したほうが効率的な選択(風力より天然ガスなど)が可能となり、結果的に経済合理性が高まると言うものです。

個人的には二つ目の議論にも大変関心があるのですが、むしろ今の日本が学ぶべきはEUの他の国の例も参照しつつ財政再建を考える一つ目の記事かと思います。

たとえば、歳出削減を行った過去の例を見ると、だいたいGDP比で年率2%までの削減は上手く行っており、また福祉より先に社会資本形成を削ると後から負の影響が大きいということも過去の事例から判明しているそうです(確かに、インフラの手入れを一度怠ると、復旧には倍の努力が必要となるであろうことは想像に難くありません)。消費税は17%から20%平均だそうで、現在日本が目指そうとしている方向性を考えると、10年後のありうべき姿を議論するための参考事例(その1)として大変有用な事例ではないかと思います。

でも、道路をメンテナンスして(未来への投資)福祉を削る、とは老人大国となった日本では難しい議論にならざるを得ないんでしょうね。うーん。