新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

循環以前

ネットでは8月14日号が流れています。

ざっと目次を眺めてみると、先週に引き続き厚みに欠ける感じですが、先週よりは少し時事的な記事が増えたのかなという気もします。特にLeadersは政治経済のホットな話題が戻ってきており、どこかで書き溜めたような先週の記事とは様変わりです。

その中で、アメリカ経済の失速と、ユーロ圏の復活についてどちらも懐疑的な要素があるとの記事が面白かったので少し。

まずアメリカですが、確かに経済は失速状況のようですね。雇用創出が伸びず、株価も低空飛行を続けています。では「二番底」はあるのか?The Economistによると、さしあたり莫大な資金バッファが確保されているので、経済危機が再発するようなことにはならないだろうとの分析です。

もう一つ、実は空席が意外なほど多い、すなわち企業側は人を求めてのだそうで。この乖離が物語るのは求人と求職者のミスマッチ、と言うこと以外の何者でもありません。企業側はスキルある人材を求めているのに、休職者がそれに追いつけていないという話ですが。

逆にドイツ経済が意外なほど好調なヨーロッパについて、これは輸出によるもので(日本も似たような状況)、肝心の国内消費が上向いていないこと、同じユーロ圏にスペインなど問題ある国を複数抱えており、その問題は一向に解決していないことなどを挙げて、全体的には慎重な見方を変えていません。

日本は、デフレのおかげもあって為替は高くなる一方、そして株価は低迷しっぱなしですが、輸出産業が一息ついていたのもつかのま、それも為替で吹っ飛びそうな勢いです。良い点はといえば原料価格の高騰が帳消しになるくらいで、我が世の春はせいぜい海外旅行者くらい、と言う状況ですが、だったらせめて、この機を利用して海外留学で人材育成の高度化を図る、などの取り組みが盛んになっても良い気がします。

さらに競争力を強めるためには、新興国向け輸出で稼いだカネがどんどん研究開発投資に回るようにすると良いのではと思うのですが、それでは選挙に勝てないということになるのでしょうか。なんとも盛り上がらない話ですが。