新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

意外と節約?

8月21日号のScience and technologyには、気候変動に関するちょっと変わった報告が出ています。ニュース番組などでは、産業や交通関係の省エネやCO2削減に比べて、民生部門の対応が遅れ気味であるという報告が少なくないように思います。実際に専門家の間でも、Demand side managementと言いまして、需要家側の省エネ対策、CO2削減対策が求められています。

ところが今回の記事によると、消費者が考えている省エネ貢献度よりも、実際に測定される省エネ度のほうがかなり高いという調査結果があるとのこと。調査が行われたのはアメリカで、サーモスタット付きのエアコンや大型の食洗機、洗濯乾燥機など日本とは容量の違う家電品を対象としているだけに、単純比較はできないかもしれませんが、この記事からいくつかのことが言えるように思います。

一つは、すでに思ったより省エネが進んでいるとすると、消費者側の省エネ対策は意外と大変かもしれないということ。二つ目は、「なんだ、省エネ努力なんかしなくても結構省エネできてるじゃん。」的な楽観的結論が出てくる可能性があると言うことでしょうか。

気候変動対策は、枠組み自体も不安定で、主要排出国の協力がなかなか得られないなど、消費者側の対応を進めてゆくための環境整備も今一つ加速させづらい状況が続いていますが、特に大きなCO2排出国であるアメリカが対象であるということから、楽観的結論に至る論拠として濫用されることがないように、と思わされる調査ではありました。