新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

誰の裏庭でもなく

ネットでは9月11日号が流れています。

Leadersのトップには今週の特集記事であるラテンアメリカについて、「誰の裏庭でもない」と題した記事が載っています。なんでも今年は対スペイン独立運動が始まってから200年に当たるんだそうですが、一見大した変化が無いように見えるこの地域も、よく見てみればここしばらく年率5%を超えて安定的に続く堅調な経済発展と、それに伴う順調な社会的成熟が、国際経済の中で無視できないラテンアメリカ勢という一大勢力を作り出した、というのがThe Economistの分析です。

そうなると、先進諸国もラテンアメリカを無視できなくなるわけですが、この安定成長の影にはもちろん中国やインドなどによる資源買付がある、というわけで、やっぱり世界経済は連動して動いているということを改めて認識せざるを得ません。

ラテンアメリカ(ラ米)を巡っては、昔から「4%議論」という話があるのだそうで、それは何かと言うと、「おおよそ」ラ米の人口が世界人口に占める比率も、GDPシェアも、さらには日本のODA予算のなかでラ米向けの比率も、だいたい4%内外なのだそうで、言ってみれば天井のような数字だということを聞いたことがあります。でも考えてみれば日本はかつてGDPで世界の15%を占めていたのが、今や8%くらいになってしまったわけで(円高で多少持ち直したかな?)、堅調な成長がもたらす4%であったなら、それは祝福されるべき成果であろうと思われます。

で、ラ米の課題は何かと言うと、このレベルで陥ってしまいがちな自己満足なのだそうで(ラ米気質を想起すれば、なるほど感のある話ではあります)、農業以外は依然として低い生産性や社会インフラの改善などを進めるべき、というのはご指摘のとおり。

そのためにはアメリカとの関係修復が大事、というのがThe Economistの指摘です。ベネズエラのチャベス政権やキューバのカストロ政権に見られる反米主義(チャベス大統領の説く「南米はアメリカの裏庭ではない」に代表される)がその阻害要因となっていて、ブラジルあたりがもっと声を大にして反論してもよいのでは、というのがThe Economistのご意見です。

まあ、でもアメリカ自身がなんと言うか、ずっとラ米を見下してきたようなところもあるのではないかと。それが中国やインドのおかげでパワーアップしてきたとすれば、とりあえず慶賀すべき話ではないのかな、と思いますが。