新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

9年目の9.11

9月11日号(!)のLexingtonは、ど真ん中直球の9.11とオバマ大統領に関する論評です。もう9年目になるんですね。

アメリカ国民が経済回復に寄せる期待と同じように、イスラム社会はオバマ大統領がカイロ演説で約束したアメリカの政策変更に期待していたのに、いずれもその多くがまだ実現していない、という記述は大統領のピンチを象徴しているように思えます。グアンタナモ収容所の閉鎖は棚上げされ、イラクこそ占領軍の撤退が行われたものの、アフガニスタンは増派と先の見えない展開が続くという状態では、イスラム社会がオバマ大統領に失望するのも分らなくもありません。

こなたアメリカの保守層の30%は、オバマ大統領の宗教がイスラム教だと思っている、というびっくり仰天の数字もありまして(彼はクリスチャンです、とThe Economistも断り書きを入れています)、中道路線は誰の支持も得られない、というジレンマを体現する状況になっているようです。

そこへもってきて、「グラウンドゼロ・モスク」建設計画について、イスラムの勝利宣言であるなどという流言蜚語が飛び交い、フロリダの田舎の神父さんが「焚書坑儒」ならぬ「焚コーラン坑イスラム」を言い出した話がネットで世界中に流れ、という話になり、9年目の9.11は大統領を「弱り目に祟り目」状態にしかねない状況となっています。

うーん、彼も頑張っているのだろうと思うのですが、何をどうすれば打開の糸口が見つかるのか、ですね。