新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

胎動、右旋回。

9月18日号のUnited Statesは冒頭に中間選挙予備選挙における共和党右派、ティー・パーティの躍進について報じています。前回の大統領選挙で副大統領候補となったサラ・ペイリン女史もこの動きに近い立場の政治家であると理解しますが、全く無名のティー・パーティ候補が筋金入りの共和党候補に勝ってしまう、というような州もあったそうで(デラウェア州の例が取り上げられていました)、オバマ政権の退潮に合わせるように、右旋回の動きが見られるようになってきた、ということでしょうか。

このティー・パーティは、名前の由来となった「ボストン茶会事件」に見られるアメリカの原点回帰を謳っており、その意味で何もかも上手く行かなくなったアメリカを建国時代の考え方にリセットすることにより、再び栄光の道を歩もうとする考え方が広く受け入れられているようです。

ちょっといやらしい雰囲気が漂うのは、少しでもリベラルな考え方に理解を示す共和党員をRINO=Republicans In Name Only (名ばかりの共和党員)というラベルを貼って攻撃する、というやり方で、大衆討議にあっては非常に有効なこの前時代的方法論が蔓延するようだと、魔女狩りや赤狩りなど、アメリカとしてはできれば忘れたいはずの「空気」が、またぞろあちこちで見かけられるようになる惧れもあるのではないかと懸念します。それだけアメリカも余裕がなくなっている、ということなのかな、と感じます。