新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

訒小平の言ったこと

9月25日号のAsiaには、尖閣諸島問題で中国が取った対応に関する淡々とした論評が出ていますが、興味深かったのは訒小平尖閣諸島の領有に関する主張が「間違っていると証明された」ときに「では次代の指導者に解決をゆだねましょう」と言って主張を収めた、とのくだりです。

この問題には数多くの読者コメントが寄せられていますが、The Economist本紙がそうである以上に識者による中国批判のメッセージが多いです。コメントの数が多くなっているのは、一人とても英語の上手いスマートな中国支持者(ことによると政府の代弁者、プロのコメント屋?)が中国政府を代弁するかのような数多くのアップをしているからですが、日本人からと思われるコメントは下関条約を参照した一件だけで、そのコメントもこの中国支持者から「下関条約は廃止された条約である」との簡単な反論を招いただけでした。

The Economist、そして多くの識者が認める通り、まずは尖閣諸島について日本がしっかりとした対応を取るべき責任を有していると考えます。この点政府部内にはいささかのぶれもないことを期待いたしますが(たとえば海域の取り締まりは間違いなく強化されるんでしょうね?次に衝突してきた漁船を見逃すようなバカな真似が起きないことを祈ります)。

ただ、問題の根はもっと深いところにあるように思います。なぜ彼らが歴史のことをかくも喧伝するのか、ということですが、文革など自傷の類も含めて、精神的に数多くの歴史的な傷から立ち直っていない中国人は、その経済規模や軍事的存在感に比べてまことに貧弱な世界観しか持てないように自縄自縛になっているところがあります。行き過ぎと思えるほどの強硬な反応はその表れであろうと思われるのですが、時代は違えどかつてローマやイギリス、あるいはアメリカが世界に問うたところの大国による平和と共存のビジョンを、このままの中国では永久に持ちえないでしょうね、ということです。長期的にはむしろこの問題のほうが大きいような、そんな気がしています。というトーンの意見を、このさい投稿させていただきました。