新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

風も止まる

9月25日号のBusinessには、風力発電システムの需要が大きく落ち込んだアメリカ、そしてヨーロッパの現状についての記事が載っています。もともと再生可能エネルギー(風力や太陽光など)による発電事業は小規模事業者が手掛けるケースが多く、そうなると経済の浮沈に受ける影響も大きくなりがち、という読み解きですが、おそらくはそのとおりかな、と思われます。残念なことながら、化石燃料に比べると環境に優しいと言われている再生可能エネルギーは、そのどれをとっても発電効率やコストの面で石炭・石油に及ばないというのが現状です。このあたりが「環境ビジネスは儲からない」といわれる所以なのかな、と思います。

高額な設備投資とメンテナンスコスト、比較的規模の小さな供給電力、天気に左右されるパフォーマンス。こなた需要家側はそんなことお構いなしですから、そもそも風力発電はユーザーニーズに合わないタイプのビジネスだ、とさえ言えるのかもしれません。

本論はここまで。

ちなみに本日のWeb版、表紙はトップがフロリダの上院選とモスクワ市長選、後に続くのは北朝鮮後継者問題、アメリカの右派、株の低迷、中東和平その他となっていて、トピックには「宇宙人との外交」とか言う記事まで出ていますが、尖閣諸島問題の記事は見当たりません。The Economistが全く注意を払っていない、ではなく、読者コメントのトップ10には3本も関連記事が出ています。欧米からの反応は多くが中国のエキセントリックな対応に対する批判など冷淡なものです。

これはThe Economistらしい対応と言えて、十分に世論を喚起した以上、正統ジャーナリズムの取り組むべき話題は、もうこの話ではない、という意思表示だろうと思います。

当初の思惑と違い、意図せずして国際社会へネガティブなメッセージを送ってしまった中国は、どうしたところでその矛を収めざるを得ず、という展開へと移ってゆくと思われます。相手ながらかわいそうに、生傷をまた一つ増やしたことになるのでしょうか。当事者として思うことは、あとは日本がどれだけ毅然とした対応を取るか、ですが。