新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

いささか違った視点

オンライン版のトップ記事のひとつに、中国がガーナで経営するビジネススクールについての話題が出ていました。先進各国が世界展開するビジネススクールは、アジアの途上国や経済移行国にもそれなりの広がりを見せており、実際のところ、今回ガーナで初めてのパートタイム卒業生を出したという中国のビジネススクールも、元々は上海に設立されたヨーロッパのビジネススクールの分校だった模様です。数年営業しただけで、今度は自分から海外に出てゆくというスタンスは、日本の技術導入からわずか6年で市場へと打って出た中国版新幹線を彷彿とさせますが、The Economistの視点は、次世代の成長拠点として注目されるアフリカに、ヨーロッパやアメリカのビジネススクールが自身ではほとんど出て行っていないこと、に向けられています。読者コメントも、概ね中国の進出を評価するものが多く、国際協力の世界におけるポジティブな話と受け止められているようです。

むしろヨーロッパがついにできなかったアフリカでの高等教育充実を、中国が担うようになったことに対して、ヨーロッパの姿勢に対する疑問が匂わされた、というのがこの記事のメッセージかな、と思います。

日本もこれまで、アフリカに対しては技術系の大学を中心にいくつか支援を行ってきたと思うのですが、最終的に経営を現地化するプロセスが大変難しいものであったと承知しています。日本の技術協力と中国のそれでは受益国に対するスタンスが異なるようにも思うので、単純な比較はできにくいと思いますが、何を成功の基準と置くかによって評価も変わってくるんでしょうね。

国際協力・国際貢献においても、ぶれない視点を持ち続けられるよう、しっかりとした議論を続けてゆくことの大切さを改めて認識しました。