新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

えらく注目されているようですが

ちょっと忙しかったので間が空きました。
11月20日号の表紙と特集は「日本」です。新聞や、テレビのニュースでもちょっとだけ(「特集された」という程度かな?)報道されてましたね。

まずはLeadersから。
アメリカの財政赤字と対策としての課税に関する特別措置廃止を含む「埋蔵金」活用試案などについて、昨年のギリシャに続いてアイルランド、そしてポルトガルなど財政的に危うくなってきているEUについて、IT産業とスパムメールの関係について、イギリスの知的移民政策(上限に関する法規制)への批判、途上国で成功しているマイクロファイナンスの商業的成功と金利制限など法的規制への批判、そしてそして、国民の高齢化をキーワードとする日本の将来への懸念材料に関する総括、と続いています。

珍しく、ヨーロッパにいる日本人(外交官または政府関係者っぽい)から長文の投稿があったことが影響したのか、日本に関する記事には数多くのコメントが寄せられています。

果たして人口の高齢化により国は傾くのか?日本は国民の高齢化により傾きつつあるのか?というあたりについては経済学の原則に照らして言えばそのとおり、という要素のほうが強いように思うのですが、日本人氏の意見は必ずしもそうとばかりは限らない、日本についての深い説明がなされていないせいで外国から正しい理解が得られにくい、というようなものです。

経済原則から言って正しいものであれば対策を考えるのが常道とされるところ、The Economistが説くような移民の受け入れや超長期で女性の多産化を議論してゆくことも必要だとは思うのですが、いくつかのコメントに示唆されていた話として、むしろ今の日本は人口減少を所与として受け入れ、その中での最大幸福をどのように考えるのかという視点で議論が進んでいるように思われます。発想がユニラテラル(一国主義)だと言われるかもしれませんが、反面コメントの多くが移民政策への強い賛意を説いていなかったことはちょっと興味を引かれました。EUの失敗が影響しているのでしょうか、もしくは日本について良く知っている人のコメントが多かったということかもしれません。

経済のグローバル化は確かに進んでいるのですが、社会のグローバル化との間には確実に時間差があるみたいで、この記事とコメントを通読して、あらためてその「間」について考えさせられました。大変興味深い話題なので、特集記事と併せて引き続き考えてみたいと思います。