新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2011年の一発目

ネットでは、2011年1月1日号が流れています。

ざっと眺めたところ、日本を基軸にした記事は見当たらず、読者からの手紙に2編ほど、先日の日本特集についてと思われる意見が載っていました。一つは一橋大学のアオキリエコ先生からの投書で、日本の将来を子供たちにも投票させて決めるべき、と言うご意見でした。今一つはカリフォルニアの一般読者から、高齢化し人口減少する日本が経済発展で新興国に抜かれるのは日本のせいではない、とするごく常識的な意見です。

日本が進み行く道の先には、早晩世界各国が直面しなくてはいけない人口問題や高齢化への対応など、本当はとても重要なファクターで満ちているのですが、拡大と成長がゴールであるはずの自由主義経済、そしてそれを擁護する立場のThe Economistからすれば、意地でも注目したくないタイプの考え方だということでもあるのかもしれません。

さて、Leadersの一本目はアメリカと中東和平プロセスについて。目新しいかもしれない意見に見えたのは、当事者同士の交渉は結局双方が抱える過激派によって毀される、であれば国際社会が過激派を黙らせる形で交渉を進めさせるしかない、という考え方です。意味するところはアメリカを中心とした国際社会による直接的な圧力、というふうに読めます。当然、読者の反応はまだら模様になるわけですが。

問題は、アメリカの大多数の市民が海外出兵にも、中東和平プロセスにも懲りているというあたりではないのかな、と思います。人間痛みがあると、正論にもなかなかうなづけないものです。それを承知で書くあたり、The Ecoomistの面目躍如とも言えるのかなと思います。