新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

内患

1月8日号のCharlemagneは、欧州連合大統領(半年間の持ち回り)の地位にあるにもかかわらず、自国において検閲法を導入したハンガリーのビクトル・オルバン首相について、EUが抱える構造的な問題を提起しています。

ヨーロッパは、どこまでがヨーロッパなのか。現在のEUを形作る基礎となったのは間違いなくベネルクス三国による通商同盟なわけですが、それが次第に大きくなり現在のEUが形成される過程で見直されずに済まされた課題が今回の問題に対するEUの対応力を削いでいる、というのがThe Economistの見たてのようです。すなわち、加盟申請者についてはさまざまなハードルを設けて厳しい対応をするにもかかわらず、メンバーについてはごく甘い〜言ってみれば、何をやっても良い〜という対応「しか取れない」ことになっている、という点です。公権力によるメディアの検閲は、当事者がそれをどう言い訳しようと民主主義への挑戦に他ならず、それを排除できないEUは大きな問題を抱えている、というわけです。

ポイントは、言い訳やら何やらを駆使しながら、検閲法を導入しようと言う政権がヨーロッパに「さえ」存在しているということ、だとしたら普遍的な価値であるはずの民主主義は、かなり厳しいところで危機に直面していると言わざるを得ないこと、ではないかと思います。

経済の面では、特に表面的な流通の面では世界中を行き来していてもさほど大きな落差を感じずに済むようになりましたが、行くべきところに行けばいまだに政治の話が神経質に扱われたりするわけで、そんな中で日本はどれだけ民主主義にコミットする覚悟や感覚を養っているのでしょうか。私は今日からまた海外出張です。