新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

金融は勇躍?

2月26日号のFinance and economicsには、事業機会を求めて海外へと目を向ける大手邦銀についての論評が出ています。三菱東京UFJは、気がついてみれば預金規模で世界第二位の大銀行で、三井住友やみずほも規模だけから言えば大変大きな存在です(合併効果、ですかね)。ただその活躍の場については嬉しい話ばかりではないようです。

ます国内はデフレで、下手な投資をするよりもキャッシュを持っていたほうが良い状態が続き、結果として預金は増え、貸出残高は伸びないという状況に陥っていることが指摘されていますが、概要その通りかと思います。

で、伸びているのは投資信託と国債だそうで、それでもなおかつ預金量を下回る運用しかできていないことに(管総理、野田財務大臣、ここに目が行ってましたか?)S&Pやムーディーズが格下げの論拠を求めたとしてもあながち責められないように思えます。すなわち、「投資しても、カネが儲け話へ回らない」状態だと言う訳ですね。だったら格付けは当然のように下がるわけです。

国内が上手く行かなければ海外へ、というのは自然な流れだろうと思うのですが、邦銀大手が狙うのはアジアだそうで、それもかなり保守的な、日本人トップを多用する形の進出しか認めないという指摘を受けていますが、だとするとこれはいささか時代遅れと言う気がします。かつて言われた「邦銀は遅く来て、沢山払い、損をする」という悪評から必ずしも脱却できていないうえに、本部の経営はたいがい慎重な物言いしかしないわけで。

勇躍海外へ、という流れには、どうにもつながりそうにない雰囲気ですが。読んでいて、何のために金融をやっているのか、についての確認が甘いような、そんな気にもさせられる記事でした。