新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

劇場化現象?

3月5日号のUnited Statesで最も目を引くのは、2012年の大統領選挙へ向けた共和党の動きについての記事です。2007年の今頃は、まだ選挙まで1年以上を残しながら前哨戦がかなりヒートアップしてたことを考えると、未だに正式な立候補表明者がいない今回の選挙はやはりだいぶ様子が違う、ということのようです。

The Economistの議論は「オバマに勝つことは可能なのか?」で始まっていますが、この問題提起を深堀すると、共和党には前回のオバマ候補のような「もしかすると、もしかする」というワクワクした感覚を抱かせる人材がいないことの裏返しなのかなと思ってしまいます。まあ、悪く言えば帯に短し襷に長しということなんでしょうけれど。アラスカのサラ・ペイリン元知事や、ジョン・ボルトン元国連大使ニュート・ギングリッチ元下院議長のように、強烈なキャラクターはいるわけで、しかしそのどれもがアメリカ大統領という職務に兼ね合わせて考えると、どうもぴったりはまらない、そんな候補ではたして「オバマに勝てるのか?」という議論なのだろうと理解します。

ただ、見ている分にはメリハリもあって、ペイリン女史の支持母体たるティーパーティの一般大衆からの嫌われぶりなんかも良く判って、日本の政治も一時「劇場化」とか言われましたけど、アメリカもだいぶそれっぽく感じられます。

4年やらせてみて、どうみても器じゃないけど、経済が良くなりつつさえあれば、対抗馬がこんなんばっかだし、あと4年オバマで仕方ないか、みたいな結論になるんですかね。もしも本当にそうなるとすると、本選挙の投票率は結構下がったりするのかも。そうしないための「劇場化」かな。

でも本当は、「民主化」するイスラムと、大国エゴをむき出しにしてくる中国と、一層停滞が進むヨーロッパを相手に、しっかりとビジョンを語れる指導者をこそアメリカは求めなくてはいけないはずなんですけどね。若いオバマに学習の成果を出せるように期待するしかないとすれば、結構心もとない4年になったりするのかもしれません。