新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

堕ちた強者

3月5日号のBusinessには、かつて世界を制覇する勢いだった日本の電機・電子産業が、不採算部門の統廃合や外資への事業売却を進めている話が取り上げられています。かつての勢いを失うプロセスにおいて、日本の企業はあまりにも付加価値の低い仕事をあまりにも長い間日本でやりすぎた、新興国への進出が遅かった等、お決まりの批判が書かれていますが、その割に事業再編についての記述は事実関係のみを網羅したもので、竜頭蛇尾というか、記事のタイトルからはずいぶんと脇の固い、慎重な物言いに終始しています。

むしろ読者コメントにあったように、ハヤブサのキセノンイオンエンジンなど、以前として世界を驚かす技術を持っているくせに、経営戦略やマーケティングの面でどうしてだか「堕ちた強者」に見えて仕方ない、とでも書いてくれたほうがそれっぽい印象になったんじゃないかと思うんですけどね。結局書き手が製造業、特に技術についてのしっかりした知見がない分、どうしても上手い切り口を見いだせない記事になってしまっていると思われるのですが。ま、イギリスのメディアに製造業の評価を任せるのは、日本のメディアにオペラの評価を任せるようなものかもしれませんので、ここは素直に批判の対象とさせて頂くに止めることといたします。