新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

サソリとカエルの話

3月5日号のFinance and economicsには、先ごろ日本のメディアでも伝えられたバングラデシュのグラミン銀行のユヌス総裁解任に関する記事が載っていました。まだ解任されると決まる直前の報道らしく、多少観測的な書き方になっていましたが、少額金融制度を創設したことでノーベル平和賞を受賞した同総裁を政治的理由で解任するとの決定には、読者コメントの大半も懐疑的・批判的なものになっています。

個人的にちょっとがっかりしたのは、The Economistお得意の「実は〜」と言った裏話の推理や新事実もなく、日本のメディアが伝えるのとほぼ同様の内容だった点ですが(強いて言えば、日本は事後の事実報道中心だったところ、直前に報道したことくらい?)、同時に思い出してしまったのは以下のようなおとぎ話です。

サソリが川を渡りたがっていました。それを見つけたカエルは「向こう岸まで乗せて言ってあげるけど、死にたくなかったら私を刺してはダメだよ」と言い、親切にもサソリを背中に乗せて泳ぎだしました。まもなく川岸というところでサソリはやっぱりカエルを刺さずにはいられなくなり、忠告を無視してカエルを刺してしまいました。二匹は向こう岸にたどり着くことなく川に沈んでゆきます。死の直前にカエルが聞きました「どうして私を刺したの?」サソリは答えました「それは私たちが○○人だからだよ」この○○には、政治の未熟さゆえに国の将来をダメにしてきた国の名前が批判的に入ります。時に応じて戦争当時のベトナムだったり、アフリカの国だったりしました。

バングラデシュについてこの話を思い出すと同時に、カエルが国民、サソリがどこかの政権与党だとすれば、私たちにとっても大変示唆的な話であると思えるのではないかと。