新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

The fallout、って言ってますけど

3月19日号の表紙は、坂を転げ落ちようとする日の丸を、原発作業員たちが必死に食い止めているという絵になっておりまして、タイトルは大きく"The fallout"と書かれております。

で、当然トップ記事は東北関東大震災に関する報告でありまして、なかんずく原発に関する話が多くなっております。The Economistですから当たり前と言えばそうですが。

ネットの読者コメントも圧巻ですが、こちらもやはり大半は原発に関するお話が中心ですね。そうでないものとしては日本の災害復旧に関する禁欲的・自己抑制的な取組みを称賛するものが目立ちました。

ひとつ違和感を感じる話として、これまで大きな災害・災厄によって日本は国の方向を変えてきた、という分析があります。すなわち関東大震災により最終的には軍国主義化し、第二次大戦敗戦により民主化し、関西淡路大震災により内省的になったというのですが、この論理にはやや飛躍があって、いずれも内包されていたに違いない方向性の萌芽が、災害のあとの経済・社会の変化によって大きく顕在化したというような話ではないかと思うのです。確かに今回の震災は大きく経済・社会を揺さぶるに違いありません。でもその結果出てくる「変化」は、もとはと言えば日本人の中にあった資質に基づくもの以外の何かではありえないのではないだろうかと、私はそんな風に思っております。