新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

実績値が物語る復興の力

3月19日号のEconomic focusでは、東北関東大震災に関してそのダメージがどのように復興されうるのか、について興味深い情報を提供してくれています。世界的に言えば、洪水は農業生産性を高める効果もある(肥沃な土が大規模にもたらされる)反面、地震はインフラや生産設備の破壊を伴い、マイナスの効果しかもたらさないのだそうで、今回の津波はまさにこちらのカテゴリに入るとの「正しい」ご託宣(日本人にとってはアタリマエの話でも、映像だけ見ていると津波と洪水は似ていると思う人も世界にはいるかもしれないということなのでしょうか)。

で、そのダメージが経済に与える影響はまさに負の影響でしかないのですが、復興について興味深い話が出ていたのは、阪神淡路大震災を経て15ヶ月後、神戸を含む広域圏の鉱工業生産は震災前の98%水準まで回復していた、という実績があるそうです。「とにかくまず、元に戻す」という暗黙のコンセンサスは企画調整段階の事務工期を大幅に短縮してくれますし、破壊された設備に代わる新しい機械はおそらくどれも最新の、ということは生産性が高い、ものに替えられるでしょうし、そう言った諸々の効果があいまって、ということかと思います。

まだ復興を語るにはあまりにも傷跡が生々しい状況であることは承知の上(死者・行方不明者の数は増え続けている)ですが、日本人にはそれができるんだということを再度証明する機会と捉え、被災地の方々が一日も早く立ち直られることを祈念してやみません。