新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

客観視の利

今日も東北関東大震災関連の話題です。

ネット版に出ている被災地からの最新の写真に対する読者のコメントに、客観的に災害対策を語るものがありました。いずれ国内でも同様の議論が出てくるものと思われますが、意味するところは大きいと思いましたので拾い書きさせていただきます。

「津波を完璧に防ぐことはできません。であれば(復興にあたり)都市計画を以て最善の対策とすべきでしょう。」
「ビデオを見ていて気付いたことをいくつか。家は基礎から離れ、そして壊れます。より強固なアンカーを打つ必要があります。また、家は水でなく流れてくる漂流物が激突したときに壊れるようです。基礎から離れて壊れた家は他の家にぶつかってその家を壊す漂流物になります。」
「船についても柔軟で強固な係留を考える必要があります。」
「水はまず低いところから上がってきます。低いところである程度の水量がたまり、そして高いところへと上がります。この性質は(都市計画上)避難のための時間的余裕を考える上で重要です。」
「陸上の構造物はある程度水を遮り、避難のための時間を確保しました。反面思わぬ経路を激流が流れて行き被害を拡大させました。津波が来たときに水を流すための経路も都市計画において計画的に設計されるべきでしょう。」
「津波の音を聞いて、水が上がって来ていることを知って助かった人もいるようです。重要な知見です。」
「車で避難して、逃げ切れないと思った人が車を止めて徒歩で逃げたため道路が渋滞となり、後続の車が逃げられない原因となりました。避難を円滑にするための反対車線の解放や高台方面への誘導などと併せて、ルール作りや計画など車を放置することへの対策も必要になります。」
「海面に比べて低い土地にある建物では、壁が津波を止めてくれるという期待は通用しませんでした。屋根に上った人も津波にさらわれました。沿岸部の建物はより高い構造にする必要があります。」

提言のいくつかはすでに認識されていることでも、改めて客観的意見として聞くと当事者としては見逃してしまいそうな話も含まれていると思います。

特に道路の話は、車で避難する人が円滑に逃げられるような仕組みをどう作るかという新たな課題を不可避のものとしたように思います。原発問題と、生存者の避難生活に目が行きがちですが、町も復興が急がれる中、ゼロベースで街づくりを考えるうえで、今しかできない都市計画の基本的考え方をしっかりと議論する必要性をかんじさせてくれるコメントでした。