新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ガマンの欠点

しばらくバタバタしていたのですが、連休前にどうにか落ち着いてきたので、またブログを再開しようと思います。

さて、4月23日号のAsiaを見るとトップには震災後の日本について、ちょっと興味深い(というかややピンボケの)記事があります。曰く「ガマンによって黙らされた(日本)」というタイトルなのですが、震災被害に関連して、「我慢強い日本人は沈黙をも甘受し、それによって不要な被害を被っている」みたいな内容なのですが、これは表面的にしか現実を見ていないと言われても仕方ないピンボケぶりで、案の定読者コメントで数多くの「そうじゃない」情報が寄せられています。

Youtubeで被害の状況を世界に発信した首長さんもいましたし、形式だけの被災地訪問からそそくさと帰ろうとする首相を呼びとめて文句を言ったご夫妻の様子はしっかりテレビでも放映されました。

もっと大きなところでそうじゃないなと思っているのは、一頃まことしやかに報道されていた大連立議論が結局勢いを得られなかったことにあります。

未曾有の国難に国を一つにして、といえば聞こえは良いのですが、チェック機能を十分に働かせるための二元的議論に自ら蓋をする愚行以外の何物でもなく、私はそれこそ政治の責任放棄そのものだと思っているのですが、震災後すぐメディアが妄信するところのキングメーカーたちがのろしを上げたにもかかわらず、結局は振り向かれもしなかったわけで。むしろ未曾有の国難だからこそ、行政の在り方をしっかりチェックするという方向に、メディアもスタンスを変えつつあるように見えます。極めて未熟で愚行も少なくない民主党政権に対して、厳しい目を向けつつも政局に関する議論を封じ、復興第一との考え方で議論を深めようとしているわけで。言ってみれば日本人の「ガマン」はそちらの方に向いているということではないかと思うのですが。