新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

中国とアフリカ

4月23日号後半のBriefingは、Leadersを受けて「アフリカにおける中国」について興味深い記事を載せています。読者からのホットなコメントも相次いでいます。

曰く、資源確保のための見境ない投資や汚職の輸出、結局はアフリカのためにならない傍若無人な進出ぶりが現地で軋轢を生じさせている、というトーンの記事なのですが、さて。

数多くの読者コメントが寄せられているのですが、所謂チャイナバッシングの記事とは異なり、多数派はThe Economistの記事について批判的な意見であるように見えます。

まずそもそもアフリカは西欧のものか、みたいな議論が根底にあり、次には中国に資源を提供できるのはアフリカだけなので、世界経済のバランスを考えた時にアフリカと中国の関係を上手くこなすことが重要だといった議論もあります。

確かに、善意が支配した日本のODAがついぞ民間直接投資を喚起するに至らなかった過去に照らし合わせて考えるに、単なる支援だけではなく数多くの投資案件が生まれている中国とアフリカの関係は、西欧の対アフリカ支援がそうであったと同じかそれ以上に、カネと利権が絡んだ話が飛び交っているわけですから、多少以上にスキャンダルめいた話も出てくるのだろうと思います(人間、そんなに進歩しているわけではありません)。

さらに決定的な話としては、仮に中国がアフリカに投資しなかったとして、対案はあるのか?西欧はアフリカの投資要求に応えられるのか?という点があります。またアフリカが中国の資源需要を満たさなかったら他の誰がそれをやれるのか?という議論も重要です。

読者コメントにおいては少数派ながら、だからと言ってアフリカが裨益しない搾取的な進出はいかがなものか、というあたりがこの記事の言いたいところなのだろうと思うのですが、長期的に見れば紆余曲折はあるものの、最終的に持続性のない投資は失敗に終わるわけで、その意味ではアフリカと中国の間において双方向の議論を喚起することのほうが、西欧対中国の非難合戦をひけらかすより100倍も重要だと思うのですが、さて。