新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

見出しから震災が消えた週

4月30日号がネットに流れています。震災から1ヶ月半あまり、ようやく(?)関連記事が目次から消えまして、ざっと見たところで日本に関する記事は、民主党政権に関するお決まりの懸念、そしてホンダの先行きに関するものの2件くらいだと思われます。

で、Leadersのトップはアメリカ経済に関する懸念の整理、みたいな記事でして、何が悪いか?についてThe Economistは3つの明らかな不満要素を挙げています。

ひとつは現政権の問題意識について。競争力についての議論を「対中国で見れば」という前提を置いて話をするため、過去に比べて悪くなっているものでも中国に勝ちさえすれば容認できるというロジックになりがちなこと。二つ目は公的資金の使われ方(まだまだ無駄が多い)、そして三つ目がとってもアメリカ的だと思うのですが、非熟練労働者への就業機会が増えないことによる潜在的危険だということです。高止まりの失業率と、経済のグローバル化が進むことに相まった要求人材の高度化に対応するための政策は、旧態依然とした産業の保護や非関税障壁の撤廃なのか?という論点は正鵠を得ているように思います。

外から見ていて思うのは、一面農業立国であるアメリカにおいて、農業セクターが提供しうる就業機会についての議論があまり高まらないのは何故だろうか?という点です。読者コメントを含めてこの点にフォーカスしたものはなかったのですが、思い当たる点はといえば「非熟練労働者は都会生活者である」くらいの話でしょうかね。だったらどうするか?記事は教育改革の重要性、というやや手あかのついた落とし所に言及していますが。

人材要求の高度化と、それに対応できない教育セクターというミスマッチ。何か他山の石としたくなる話題だと感じた記事でした。