新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

社会学的後退

4月30日号、後半のBriefingは、改善の動きを見せないアメリカの雇用情勢についての記事です。若手から中堅の低学歴層がかつてないほどの就職難に陥っていること、その流れは高学歴層にも及びつつあること、社会保障制度の運用が必ずしも柔軟でなく、一旦受給者になると再就職への同期が薄れたり、そのわりに長期失業者や男性に手厚くないことなど、システム的な問題も浮き彫りになります。

秀逸だったのは読者コメントの中にあったSociological recessionという捉え方で、economic recession (不況)と同様の発想だと思うのですが、直訳すると「社会学的後退」というようなコトバになろうかと思います。かつて世界の憧れを誘ったアメリカですが、勉学に励むべき時期に若者は芸術・文化・スポーツに走り、代わって社会進出を果たした女性はそういった若者に幻滅し、結果として健全な家庭は築かれず、そこにおける教育は負の再生産へと流れる、というような情景かと思われます。持って他山の石とすべきお話ではないでしょうか。