新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

権威主義:その終わりの始まり

ちょっと遅くなりましたが、5月7日号のLeadersを読んでいます。トップはオサマ・ビンラディン殺害の政治的意味に関する論評です。読者コメントもこれまでに各種メディアが報じたものと大差なく、すなわちアルカイダはこれで衰退するだろうと言う説と、むしろ拡散してテロは続くだろうという説に分かれているようです。その他にはパキスタンの主権侵害問題や、ビンラディンを匿っていたのではとの疑い、オバマ大統領の政治的アドバンテージや対中東政策について、などなど。

俯瞰的にみると、こう言った意見交換も含めてですが、潮流は国家主権とそれに対するテロ、あるいはビンラディンが目指したと伝えられるカリフ制の復活とはおよそ違う方向へと流れつつあるように見えます。チュニジア、エジプトで政変を達成し、混乱が続くとは言えイエメン、リビアそしてシリアで大きな動きとなっている「ジャスミン革命」を引き起こした流れがそれで、言ってみれば権威主義の終わりを感じさせるものではないかと思われます。むろん、あっさりと権威主義がその終わりを認めるはずもなく、これからまだまだ紆余曲折はあるのでしょうけれど。

その大きな流れの中で、アメリカやキリスト教社会と言えども決定的な変質を余儀なくされるのではないかと言う予感めいたものを感じるのですが、それが具体的には何なのか、なかなか説明しづらいところはあります。誤解を恐れず言ってしまえば宗教すらもが壁にはならなくなる、といったような何かなのですが。この点、ブログにとっては今後の宿題ですね。