新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

近隣諸国との関係

5月14日号のAsiaには、日本に居るとあまり耳にすることのない中央アジアで勃発した民族紛争の事後調査に関する記事が載っています。昨年6月にキルギス共和国で発生したウズベク人とキルギス人の衝突事件で、仮に軍隊がしかるべき時にしかるべき形で動員されていれば、470人ほどと言われる犠牲者は出ずに済んだのではないかという報告書が出た、と言うお話。

ウズベキスタンキルギス共和国は、中央アジア5カ国にあって、カザフスタンを交えた複雑な国境を挟んだ隣国同士です。カザフスタン人とキルギス人が、ちょっと見には大変良く似ているのに対して、ウズベキスタン人はちょっと違う。彼ら自身は相互の区別がつくのだそうですが、日本人から見て区別がつくとすると3カ国の中ではウズベク人かな、と思います。いずれも言語的にはロシア語が良く使われており、母国語たるウズベク語、キルギス語、カザフ語はどれもトルコ語の方言と言ってよい言語で、相互の意思疎通は通訳なしでもそう難しくありません。コミュニケーションが取りやすい分だけ、たとえば日韓・日中の関係に比べても濃密な協力関係が作りやすいのでは、というのは第三者的な見方かもしれません。

現地に詳しい方から聞いたことがあるのですが、中央アジア五カ国の相互の関係は言ってみれば手の指のようなもので、もともとトルコ系という出所(掌)は一緒でも、向いている方向は違うし、絡むことはあってもくっつく訳には行かない、のだそうで。

近隣諸国との関係が微妙だったり、軋轢含みだったりするのは、なにも東アジアに限ったことではないという、ある意味で言い古されたオハナシを再確認した記事でした。