新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

そっちじゃなくて

ネットでは5月21日号が流れています。さっそくLeadersから。

まずはインド・パキスタン関係を巡る緊張について、つぎに性的スキャンダルでIMF専務理事を辞任することになったドミニク・ストラウス-カーン氏(日本のメディアはストロスカーンと表記するようですが)について、震災からの復興に向けた日本経済について、アメリカの製造業と組合の軋轢について、代替医療と規制について、となっています。

残念ながら日本についての記事は面白くも何ともありません。The Economist自身、効果的なSolutionを持ち合わせていない、もしくは復興に向けて日本人が取っている対策以上のものはない、ことを裏付けるようなつまらなさです。

逆に面白かったのはアメリカの労働組合についての記事で、ワシントン州の工場でボーイングの労組がストをする、でボーイングが労組の弱いサウスカロライナ州に工場を建てる、すると労組は労働者の権益侵害だといって政府機関である労働関係局に訴え出る、そうすると労働関係局はボーイングに対し、立てた工場と雇った労働者を使わずにワシントンへ戻るよう指導した(!)という話。当然のように記事の矛先はオバマ大統領に向くわけで、「やつは左翼だ!」というセリフが喉元まで出かかったような記事でした。

ストラウス-カーン氏の「相手」は、読者コメントによるとギニア出身のスラリとした長身・細身の女性だったようで、いかにも「嵌められたんじゃないの?」的なウワサが出そうな人だったとか。日本では悪名高いワイドショーも、さすがにここまで追いかけないかなと思いまして。

IMFに限らず、国際機関ってなんとなく聖域的な扱いを受けてますでしょ?実際はそんなことはなく、部下が上司の不道徳ぶりを訴える、なんていう事例はゴマンと存在しており、国連システムの場合だと最終的にはILO国際労働機構が持っているTribunalという制度で解決が図られるのですが、セクハラで女子職員が訴え出て雇用者側が負ける、といったような事件は日常茶飯事なのだとか。

印パ関係も、パキスタンと言えばアフガン、アルカイダと続いてきた最近の報道とは逆に、パキスタンにとって東〜北の国境こそが最大の関心事であったことを思い出させてくれる記事でした。いや、そっちじゃなくて、って?